■高浜原発再稼働に反対意見書 多賀町議会全会一致(2015年9月29日)



高浜原発の再稼働に関する意見書


 一昨年の9月以来、日本中の原発が停止していましたが、去る8月11日、九州電力の川内原発1号機が再稼働しました。「川内原発の次は高浜原発か」と報道される中、8月17日、原子力規制委員会は高浜原発の「使用前検査」を開始しました。高浜原発の再療働に関しては、つぎの問題点が指摘されています。

 1つ目に、地震の想定が非常に甘いことです。高浜原発の基準地震動は700ガルに設定されていますが、2007年に中越沖地震が柏崎刈羽原発を襲ったときの揺れは1699ガルでした。これを受けて、同原発の基準地震動は450ガルから2300ガルに引き上げられています。高浜原発の基準地震動の実に3・3倍です。2つ目に、実効ある避難計画が策定されていないことです。避難計画の策定を任された多くの自治体が「実効ある避難計画の策定は不可能だ」と苦悩しています。実際、過酷事故が起きた場合に、多賀町が住民にどのような指示を出せばよいのか確たるものはありません。3つ目に、放射性廃棄物の中間処理、最終処理の目処が立っていないことです。このまま再稼働が進めば、放射性廃棄物が増え続け、それが拡散し、子どもたちと地域の将来を台無しにする可能性があります。

 こうした問題点を残したまま高浜原発の再稼働が急がれていることに、以前から隣県の福井原発群の存在に不安を抱いていた多賀町の住民は、一層大きな不安を募らせています。

 高浜原発の問題点と地域住民の声を受け止めた福井地裁は、今年4月14目、「高浜発電所の3号機及び4号機の原子炉を運転してはならない」との仮処分決定を下しました。

 政府は住民の不安を真摯に受け止め、福井地裁の決定を尊重すべきです。そして、指摘されている上記の問題点が解消するまでは、高浜原発の再稼働に向けた作業を止めるべきだと考えます。

 以上、地方自治怯第99条の規定により意見書を提出する。


平成27年9月29日

内閣総理大臣経済産業大臣環境大臣   あて

          滋賀県犬上郡多賀町議会