■北陸新幹線よりも地域公共交通の充実を!(長浜民報ひきやま2015年9月27日号)

 日本共産党の浅見信夫市議は16日、9月市議会一般質問で北陸新幹線問題について市の見解を質しました。
 北陸新幹線の敦賀以西ルートをめぐってはあいかわらずバラ色の夢ばかりがキャンペーンされているなかで、浅見市議はしっかりと市民負担という負の部分を見つめ、市民の足をどう守り拡充していくかという、地に足のついた政策の方向性を指し示しました。長浜市が直接関係する「米原ルート」は、米原駅に北陸新幹線が接続されるだけで、地元にはメリットはほとんどないものです。

 「北陸新幹線は、長野―金沢間が平成27年3月に完成・開業。金沢・福井・敦賀間については、国では平成34年度末の完成・開業が目指され、敦賀以西のルートについては、小浜・湖西・米原の3つのルートが候補にあがっており、国で検討が行われている。

 「北陸本線を守ることが大前提、絶対条件」

 市長は、8月22日に開催された青年会議所のフォーラムで、敦賀以西ルートに関連して、地域の観光振興への寄与や在来線の維持などを強調した。

 さらに、本定例会の各会派の代表質問に対しては、米原ルートを提唱するものの、在来線の維持と費用負担の問題が「絶対条件」であると答弁された。

 JRの経営から分離 第2セクター化で累積赤字

 北陸新幹線のような整備新幹線の建設では、儲からない並行在来線はJRの経営から分離され、沿線自治体とJRが同意することで第3セクターなど地元に経営委譲することが、政府与党申し合わせて決まっている。

 ところが全国では、整備新幹線の建設で第3セクターが経営している並行在来線は累積赤字をかかえ、地方自治体の負担が大きくなっているところが数多くある。

 市民の大切な交通手段、まちづくりの基盤である北陸本線には多額の市費を投入

 北陸新幹線米原ルートの場合に「並行する在来線」である北陸本線は、平成15~18年度にかけて、多額の地元自治体負担により直流化工事を実施した。

 直流化の総事業費は161億円で、地元負担は滋賀県・福井県あわせて143億円。地元関係市町村は18億円を負担し、1市8町を含む長浜市は、11億4千万円を負担している。これに加えて新長浜駅舎を26億3千万円かけて整備もしている。

 さらに、北陸本線の各駅の整備や周遊観光キャンペーンやエコミュージアムの取り組みなど、多額の投資を行ってきている。

 その結果、湖北地域がJR西日本のアーバンネットウークに加わり、北陸本線が、京阪神地域と一体になった交通ネットワークや市のまちづくりに、決定的に重要な役割を果たしている。

 米原ルートを考える場合、市民の交通手段、まちづくりの基盤となっている北陸本線などの在来線を守ることが大前提、絶対条件であると思う。

 莫大な財政負担

 北陸新幹線敦賀以西ルート(米原ルート)の建設費は、約5,100億円と概算され、それを国が3分の2、地方が3分の1の割合で負担することになっている。

 整備新幹線は地元自治体に莫大な負担のかかるプロジェクトで、建設費の財政見通しや地元自治体負担など、慎重な対応が必要だ。地元自治体負担という財政問題が生じる事態が起こった場合、市は絶対条件の一つとしての考え方を明らかにしているのだから、きっぱりと不同意の判断を行うべきである。

 在来線の維持と財政負担に係る市の基本姿勢は変わりない

 浅見市議の質問に、藤原久美子・市総合政策部長は、「市民の生活路線である北陸本線の運行確保や地域への経済効果に見合わない財政負担が生じない対応をすべき」という基本姿勢を明らかにし、そのことが北陸新幹線問題を考える場合の絶対条件だと答弁しました。

 地域公共交通の充実を

 浅見市議は、「市民が求めているのは、整備新幹線の建設ではなく、地域の少子高齢化が進む中、くらしを支える交通手段を確保すること、まちづくりや観光など、地域振興と連携した公共交通ネットワークの構築など、地域公共交通の充実である」として、地域公共交通に係る基本的考え方、ビジョンおよび具体的な対策について、市の見解をただしました。

 公共交通ピジョンを策定する

 今井克美・市都市建設部長は「平成22年の合併後、5年が経過しており、今後は旧市町の区域を超えた長浜市全体を網羅した交通網の形成が必要と考えており、これらを踏まえた公共交通ビジョンを策定し、持続可能な公共交通の運営を図っていく」と答弁しました。