第42期滋賀県労働委員会
     労働者委員の偏向任命に対する抗議声明

                                        2013年4月2日
滋賀県知事 嘉田 由紀子 殿
                               滋賀県労働組合総連合
                                    議長  杉原 秀典
                               2013年国民春闘滋賀県共闘会議
                                    代表  瀧田 幸彦

 滋賀県嘉田由紀子知事は、4月1日付けの第42期滋賀県労働委員会労働者委員の任命にあたり、公平・公正であるべき行政の基本原則を踏みにじり、労働者委員5名全員を連合が推薦する候補者のみに独占させるという偏向任命を強行しました。滋賀県は、第31期から39期に至るまで、連続9期18年にわたって「連合」というただ一つの潮流のみを認知し、他の潮流を一貫して無視・排除し続けてきました。第41期と42期は、「労連系を排除するものではない、不公正をなくす」という知事の決断で、一定の是正措置はとられてきましたが、第42期は、2期4年間の実績等を検証することもなく再び偏向任命に戻ってしまいました。
 この不当な任命は、滋賀県労連と、中立組合を含む国民春闘滋賀県共闘会議が推薦した宮武眞知子(滋賀県医療労働組合連合会執行委員長)候補を意図的に排除したもので、ILO第87号条約の結社の自由原則に違反し、憲法が保障する「法の下の平等」を自治体の長自らが蹂躙する暴挙と言わざるをえません。

 労働委員会は不当労働行為から労働者・労働組合を救済すること、国営企業等のストライキ権剥奪の代償を担うこと等を目的に設置された行政委員会であり、構成する委員が公平・公正に選出されるべきことは当然のことで、旧労働省も任命の基準として労働組合系統別に配慮するよう通達を出しています(1949年第54号通牒)。また、最近の例としては、札幌地裁が「北海道労働委員会労働者委員の連合推薦委員による独占任命は、知事の裁量権の逸脱」との認定も行っています。また、企業が解雇規制撤廃などを要求し、労働者に対して守るべきルールや果たすべき社会的責務を放棄する中、違法な派遣・請負労働の急増、そして倒産・解雇・組合潰しなどの労使紛争が頻発していますが、その犠牲となっている労働者は、非正規労働者と中小企業労組に集中しています。そのことによって、県労働委員会に対する申立て等の持ち込みは、非正規労働者や中小企業労組を積極的に組織し、たたかいを支援している滋賀県労連などの件数が多数となっており、労働者委員の任命にあたっては、こうした事情なども考慮されるべきです。
 そして、これらの事実は、第42期の労働者委員任命に当たって県担当課が説明した「組合員比率を考えると3期を通して、県労連側の委員配分は2期任命、1期休憩でバランスがとれる」という理由だけでは、合理性を有するものでないことを示しています。

 今回のような滋賀県の偏向任命が、多くの労働者・労働組合の労働委員会への信頼を喪失させ、労働委員会制度そのものの形骸化を押し進める一因となっていく事実を嘉田知事は直視すべきです。
 私たちは、滋賀県の労働者委員不公正任命に抗議し、この県政を変えるために断固たたかうことを確認しました。再び、繰り返された偏向任命という異常な行政を正すため、今後、さらに多くの労働組合と力をあわせて引き続きたたかう決意であることを表明します。