アピール

「子どもの命が一番」の学校、行政、社会をつくるために力をあわせましょう

       
――大津市立中学二年生自殺事件について――

                        2012年7月24日      日本共産党滋賀県委員会

 昨年10月、大津市立中学校に通っていた中学二年生の生徒が自殺しました。その後、自殺の背景に深刻ないじめがあったことが明らかになっています。ご遺族の悲しみの深さは計り知れません。あらためて亡くなられたご子息とご遺族のみなさまに心からの哀悼の意を表します。

■県民、国民の学校・教育委員会の対応にたいする批判は当然

 県民、国民は、13歳の命が失われたことを悲しみ、学校や教育委員会の対応に少なくない不満や批判を抱いています。学校はいじめをいじめと把握していませんでした。生徒の自殺後の全校生徒アンケートで「お金をとられていた」「自殺の練習」などの記述があったにもかかわらず、教育委員会は「いじめはあったが、自殺との因果関係は不明」と調査を打ち切ってしまいました。

 学校や教育行政は、子どものために存在するものであり、そこでは子どもの命が一番のはずです。その場でいじめが見抜けなかったことは重大な問題です。事件後は、いじめと自殺の関連性が強く疑われる状況だったにもかかわらず調査が打ち切られました。警察も三度も父親の訴えをまともに扱いませんでした。いずれも、弁明できるものではありません。

■二度と繰り返さないための真相解明に役立つ第三者委員会を

 私たちは、事件の背景、いじめの事実関係が可能な限り全面的に解明され、学校と教育委員会、警察の対応が事実に基いて検証され、二度とこのような悲しいことが起きないようにすることを強く求めます。越・大津市長が提案している「第三者委員会」も、その役に立つよう、構成員は遺族側の要望をふまえるとともに、教育学や心理学などの専門家や子どもの人権に詳しい弁護士などによって立ち上げ、子どもと保護者、教職員の声をていねいに聞き取り、学校を支援できるようなものにすることを求めます。

■いじめや暴力を克服するための県民の運動をご一緒に

 いじめは特定の学校の問題でなく、どの学校にもあり、子どもも先生も保護者も日々悩んでいる問題です。

 いじめは、からかいや無視、物隠し、侮辱的言葉などにとどまらず、殴る蹴るの暴行、多額の金銭を脅しとるなどきわめて深刻なものです。さらにはケータイやネットを使った陰湿ないじめもふえています。それらは特定の人間にたいする軽蔑、侮蔑の体制であり、暴力によって服従を強いるものであって、長期にわたって相手の心身を徹底して痛めつけるなど、「ふざけ」や「遊び」とは決定的に違っています。

国民の苦難の軽減をモットーにしている党として、このような人間性の破壊を黙ってみているわけにはいきません。

 いじめの深刻化の背景には、子どもたちのストレスの強まり、学校現場の「多忙化」や上意下達などがあります。社会全体で弱肉強食の風潮が強まっていることも、いじめの温床ではないでしょうか。こうした社会の問題にも広く目をむけたいと思います。

 以上の立場から日本共産党滋賀県委員会は、いじめや暴力を克服して、「子どもの命が一番」が名実ともに貫かれる学校、行政、社会をつくるための運動を、みなさんと一緒にすすめる決意です。子どもの命を守ることは政治の責任でもあります。私たち日本共産党は弱いものいじめの社会を変え、人間尊重の社会をめざす政党として、全力をあげます。