■TPPってなんだ?

 

 TPP(環太平洋連携協定)は、各国の国民経済を守るための貿易関税などの制度を原則撤廃しようというものです。

 

農産物の輸入も完全に自由化します。農林漁業は壊滅的な打撃を受け、食の安全、医療、金融、保険、官公需・公共事業の発注、労働など、国民生活のあらゆる分野でアメリカ流の「市場原理主義」が押しつけられます。

 

 農林水産省は、関税撤廃で日本のコメ自給率は1割以下になり、国民が食べるコメの9割以上が外国産米、食料自給率は現在の39%から13%に落ちると試算しています。民主党政府が決定した「2020年度までに食料自給率を50%に」という計画も絵にかいたモチになります。

 

 TPPは「第3の開国」「農業は保護されすぎている」などという宣伝がありますが、日本の農産物関税は117%と、アメリカに次いで世界で2番目に低く、「鎖国」どころか、十分すぎるほど「開かれ」ています。

 

TPPは、暮らしと経済のあらゆる分野が対象です。TPP交渉では、政府調達、金融、投資、環境、労働など24の作業部会があり、食の安全、医療、官公需・公共事業の発注、金融・保険、労働などで、国民の生活や安全を守るルール、中小企業を支援する制度などが大きく崩されます。

 

 アメリカは日本に、BSE(牛海綿状脳症)対策の緩和を要求しています。アメリカの「対日要求」には、輸入食品・農産物の検査や、遺伝子組み換えかどうかの表示も「緩和」を求めています。残留農薬や食品添加物の規制もそうです。

 

日本の公的医療保険制度、国民皆保険制度もやり玉にあがっています。こんな制度までこわされれば、保険のきかない医療が拡大し、貧富の差で医療が制限され、もうけ本位の医療が横行し、まじめな病院は地域から撤退し、「医療崩壊」の危機をさらに深刻にします。

 

 TPPは、政府や地方自治体の物品購入や公共事業で、国際入札を義務づけます。市町村の小規模な公共事業や物品購入も「開放」され、地元企業への優先発注、住宅リフォーム助成制度、公契約条例なども排除されるでしょう。外国企業が安い外国の資材や労働力で参入すれば、地元企業は仕事を奪われます。

 

 TPPは「国のかたちを変え」ます。野田政権は、国民的な議論もないまま、交渉の情報も示さず、強引に突き進んでいます。国民生活と日本経済はいま大ピンチです。

 

 日本共産党は、TPPへの暴走を許さない国民的な共同を、心からよびかけ、その実現のために全力をつくします。                           (201222